2023.11.01
加齢による睡眠の変化とは?
【第40回】加齢による睡眠の変化とは?
私は企業向けの睡眠セミナーを多数しています。 50代の人からよくある質問が、 「朝まで1回も目覚めることなくぐっすり眠るには、どうしたらいいのか?」 これを理想としていたら、満足できる睡眠にたどり着くのは難しいでしょう。 睡眠は加齢によって、浅く、短くなるのが一般的だからです。つまり夜中に2~3回目覚めるのは、正常な睡眠です。 よい睡眠がとれているかどうかの一番のバロメーターは、日中の体調や気分です。 過度な眠気や疲労感がなく、イキイキと過ごせていたら、睡眠に問題はありません。なぜかというと、自分では眠っていないと思っていても、睡眠検査で厳密に測ると眠っていることが多々あるからです。このように主観と客観に乖離があることを、専門用語で「睡眠状態誤認」と呼びます。 更年期以降はホルモンバランスの変化で、深くぐっすり眠ることが難しくなります。 自動車の走行距離が長くなったら、アクセルやブレーキの効きがわるくなったり、メンテナンスをしてもどこかに不具合が生じやすくなります。人も加齢によって体力や記憶力が落ちたり、眠りが浅くなるのは普通のこと。これを知っておきましょう。 だからといって、そのまま放っておいては、さらに悪化してしまします。睡眠にわるい習慣を避けて、よい習慣を取り入れていくことが大切です。
✔ 夕方以降にうたた寝しない ✔ 寝床でスマホをしない ✔ お酒を減らす ✔ 就寝前にタバコを吸わない ✔ 16時以降にカフェインをとらない ✔ 夜食をとらない ✔ 就寝直前に入浴しない ✔ 週末に朝寝坊しない
まず、やってはいけないことをしないこと。 そして、積極的に取り入れたい睡眠によい習慣の中で、私が最も重要だと思っているのは「一日30分以上太陽光を浴びること」。 1時間でも2時間でも浴びれば浴びるほど、夜間の睡眠ホルモンの分泌量が増えるので、ぐっすり眠れます。 年を重ねて睡眠習慣を見直すことは、若い時以上に大切です。 完璧を目指すのではなく、今の自分にちょうどいいバランスを見つけていきましょう。
三橋 美穂(快眠セラピスト・睡眠環境プランナー)
寝具メーカーの研究開発部長を経て、2003年に独立。これまでに1万人以上の眠りの悩みを解決してきており、とくに枕は頭を触っただけで、どんな枕が合うかわかるほど精通。全国での講演や執筆活動のほか、寝具や快眠グッズのプロデュース、ホテルの客室コーディネートなども手がける。主な著書に『眠トレ!ぐっすり眠ってすっきり目覚める66の新習慣』(三笠書房)ほか、日本語版を監修した『おやすみ、ロジャー 魔法のぐっすり絵本』(飛鳥新社)は100万部を突破。https://sleepeace.com/